
井上ひさしの憲法指南
井上ひさし 著
『日本国憲法は世界史からの贈り物であり、しかも最高の傑作だと信じています』と語る井上ひさし。九条の会呼びかけ人の一人である氏の、憲法についてのエッセイや講演録を収めた一冊。読みやすく、時におもしろく、日本国憲法誕生の様子を詳しく知ることができます。
学習会での題材
憲法は権力への対抗手段
” 憲法という考え方は17世紀の末から百年かかって、すなわち、イギリスの権利章典やアメリカの独立宣言やフランスの人権宣言などを経て形成されて行ったもので、その中身は、権力者の権力の使い過ぎに対して制限を加えるものであった。
もっと簡単に言えば、権力の集中からその権力をどう引き剥がすかを記したもの、それが憲法である” (本文より)”日本国憲法の前文の冒頭は、アメリカ合衆国憲法の冒頭とよく似ています。日本国憲法の中にはパリ不戦条約があり、国連憲章があり、太平洋憲章があり、権利章典があり、リンカーンの有名なゲティスバーグの名演説『人民の人民による人民のための政治』という民主主義の原則も入っています” (本文より)
などなど、日本国憲法はアメリカGHQからの押し付けなどではなく、世界史上人類が不屈の魂で獲得してきた、貴重な全世界市民共通の財産であることがよくわかります。
目次
第一部 憲法と生きて
第一章 憲法を読む
憲法を生きて ー破られた戦力放棄と議会民主主義
読み物としての新憲法
私家版憲法読本
これからだ 日本国憲法を読もう
エッセイの題材
いちばん偉いのはどれか
憲法の三原理
第二章 九条を語る
軍隊は国民を守ってくれない
世界の真実と中村哲さんのこと
あんな時代に戻りたいのか
絶対平和とはなにか
自分にとって大切な友を、けっして裏切ってはならない第二部 二つの憲法 ー大日本帝国憲法と日本国憲法
はじめに
1 憲法の誕生
2 大日本帝国憲法ができるまで
3 戦争から敗戦まで
4 日本国憲法ができるまで